一時半泳ぎ続け、私は部活を終えた。

「あー、今日も疲れたー」

部室で制服に着替え、髪を乾かしていると、ふと同じ部活の子の声が聞こえてきた。

「ねえねえ、きいた?来栖くんが学校一美人の町田さんに告白されたって」

…えっ?

木ノ葉が告白されたんじゃないの?

「きいたきいた。来栖くん、OKしたんでしょ?」

「そうらしいわね。でも、遊びらしいよ?」

「なにそれー。学校一美人の町田さんにもなびかないなんて来栖くんもひどいわね」

私はいつの間にか、その子たちの前にきて、壁をバンッと叩いていた。

「っ、びっくりしたー。あっ、長崎さんじゃない。どーしたの?」

私が何を思っているかわかっているのか、ばかにしたような目でをむけてきた。

「今の話、ほんと?」

「そうよ?だって、来栖くん本人が言ってたことだもの」

私はその態度に腹が立って、もう一度壁をバンッと叩いた。

来栖本人に会って直接聞こう。

私は彼女たちに一歩近づいた。

少しびびったのか、彼女たちも一歩下がる。

「…な、なによ。言いたいことがあるならいいなさいよ」

「……こ?」

「は?」

「来栖が今どこにいるかきいてんの」

私は怒りが収まらず、彼女たちに強い口調で問い詰めた。

その声にびびったのか、彼女たちは顔をひきつらせた。

「く、来栖くんになにするつもりよ」

「きくの、木ノ葉のこと遊びなのかって」

「そんなの遊びに決まって…「来栖本人にききたいの」

私が彼女たちの声を遮ると、顔を見合わせて、覚悟を決めたのか、怯えつつこっちを見た。

「いいわ、教えてあげる。でも、一つ言っといてあげる。…もし、来栖くんに手を出したら承知しないから」

「それは、来栖の返答次第よ」

「な…。…まあ、いいわ。今来栖くんなら屋上にいると思うわよ」

「ありがとう」

私はそう言って、部室を後にした。