来栖くんと一時間目を抜け出して、屋上へ向かった

屋上へきた瞬間、抱きつきてきた。

遊びだからって、平気でこういうことをしてくるから、本気で好きな私には心臓に悪い。

「ち、ちょっと、来栖くん。は、恥ずかしい…」

「いいじゃん。木ノ葉ちゃん可愛い」

「もう…」

嬉しいと思いつつ誰にでもやっているんだなあって思ったら少し悲しいと思う自分もいた。

「ところで、木ノ葉ちゃんにききたいことがあるんだけど」

少し声のトーンが下がった来栖くんの質問に嫌な予感がしたけど、聞いてみることにした。

「な、何?来栖くん」

「木ノ葉ちゃんの親友の名前教えて?」

聞いた瞬間、心臓がドクンと鳴った。

「…なんで?乃々香のことを?」

「乃々香ちゃんっていうのか。俺さ、昨日ビンタされたんだよね。しかも、初めて女に。木ノ葉ちゃんと遊びで付き合ってるって聞かれて、そうだよって答えたら」

え?

なんで、乃々香が知ってるの?

昨日、嘘ついたはずなのに…。

「乃々香ちゃん、友達思いだね。俺感心しちゃったよ」

にこにこしながらそう言ってくる来栖くんにますます嫌な予感がして、これ以上ききたくないと思ってしまった。

でも、そんなこと、遊び相手の私のことなんてお構い無しの来栖くんは容赦なく言ってきたのだ。

「だからさあ、木ノ葉ちゃん、別れてくれない?俺、二股はしない主義でさ。たとえ遊びでもね。あっ、あとさ、乃々香ちゃんのこと、紹介してよ。」

そう言われて、我慢できずに、涙がこぼれ落ちた。

すると、めんどくさそうな表情でこっちに向いてきた。

「はぁ、泣かないでよ。めんどいなー、もー。俺が遊びで付き合ってるのわかってたでしょ?」

「わ、わかってたけど…」

私はそのまま泣き崩れてしまった。

そんな私を見て、嫌気がさしたのか、来栖くんはそのまま私を置いて、屋上から出ていってしまった。