一方、残された来栖は初めて女に怒られたうえにビンタをくらわされたので、さっきの子に興味を持ってしまった。

「俺を叩いたこと、後悔させたいほど、あいつを堕としたい」

誰もいない屋上でポツリと言った言葉は風によってさらわれたが、来栖の心にはずっしりときたのだった。

この後、あの子との出会いが自分を変えてしまうなんて、思いもしなかった。