偽りの先生、幾千の涙



「いえ、お手伝いさせてください。」


「いい。
大丈夫、毒なんて入れてないから。」


「…では、お言葉に甘えて。」


私はいつも座っているソファに座る。


台所からは包丁がリズム良く野菜を切っていく音が聞こえる。


それが止んだとと思ったら、コンロに火が付く音がして…何かを痛めているようだ。


何を作っているのかと考えていたら、暫くしてお皿が二つ運ばれてくる。


白くて平たいお皿の上に、ドーム型の黄色い物体…オムライスだ。


オムライスが目の前のテーブルに置かれるのを見ると、目線をシェフである彼の方に向ける。


「どうぞ、召し上がれ。」


「いただきます。」


伊藤に見守られる中、私はオムライスを一口食べてみる。


「…美味しいです」。
料理、お上手なんですね。」


「上手いかは分からねえけど、昔から毎日作ってたからな。
慣れてはいるけど、果穂も同じだろ?」


「私は…ここ何年かはそうですけど、手抜きですよ。
オムライスの野菜、基本的にミックスベジタブルなんで、こんなちゃんとしてないです。」


「まあ、俺も普段はこんなにちゃんと作らねえけどな…今は栄養取ってもらわないと。」


伊藤が私の横に座る。


話が始まると思って、私はスプーンを置いた。