陽が暮れた海岸は、まだ夜釣りには早いのか、貸切状態。



「先に言ったら、お前が興奮して話して、俺からおばさんに許可は貰えないだろ。だから」



車から降り、波止場を散歩。

波音にかき消されそうなトーンで、事情説明を受ける私。

…もう別に怒ってないんだけど;;

黙ってるには、他の理由があるわけで……。



「今更、悠李と付き合うより、結婚した方が意識も変わるだろうし、良いか?」



「良いんだけど……」



「何」



「私の事……」



「それはまた今度。腹減った」



…え?

何それ!

それ、ありなの!?

私が恥ずかしさを我慢しながら聞いたのに、そんなハッキリ“また今度”って……。

…凹むんですけど……;;



「オムライス、食いに行くか」



「永君……」



「好きだろ。小春日和の」



「――うん!大好き!!」



「おいっ!危ねぇだろ!」



「オムライスもから揚げも永君も大好き!」



「……何か増えてねぇか」



体勢が崩れたら、海に落ちる可能性のある危険な波止場の先端に立つ永君に飛び付いた私。

受け止めてくれた永君。

そのまま抱き締め返してくれた。