私が怒ったところでどうにもならなくても、ママが居れば強い。

それはそれで、どうなんだろ。

私と永君が……ってなると、ママたちの存在が、永君を縛り、自由を奪うんだろうな。



「……っ……、ダメだよ、そんなの……」



「……悠李??」



「私何かが永君と付き合ったら、みんなが結婚させる……。永君の気持ち……、みんなが、無くすんだよ……」



「まさか、悠李……」



「……ごめっ……ん……っ……」



「悠李、ごめん!私の方がごめん。……。私、お兄ちゃんと悠李だけはないと思ってたからっ!」



涙が溢れて止まらない私の、背中を擦りながら謝る悠李。

私がこの気持ちをなくせば、永君は自由で。

みんなに縛られる事はない。

だいたい、キスしただけ。

そんなので好きだなんて、私が何も知らなかったから。

初めてのキスが、永君だったから。

それまでは、怖くて、時には優しいお兄ちゃんだった。

私にはお兄ちゃんだったんだ……。



「大丈夫……。忘れられる……っ。傍に居られるだけで、十分……」



「……悠李……」



「永君は、私にとっても、お兄ちゃんだから……」



数日前より近付いて。

昔より、永君を近くに感じる。

それだけで、もう良い。

もう、十分だよ……。