人混みを避ける為に、少し遅れてようやく腰を上げた。

花火は終わっても、まだ何やら騒がしい場内。



「キャ……ッ!!」



「悠李!!?」



「った……;;」



「ごめんなさい!大丈夫ですか??」



「……もーっ!擦り剥いたーっ!!」



「本当にごめんなさいっ!!」



階段に差し掛かった瞬間、何かが背中にぶつかった。

昔はよくお兄ちゃんたちと外で遊んでて、怪我なんてしょっちゅうだし、痛みには強い方。

だけど、この年になって。

しかも、水着の季節に膝を擦り剥くとはあり得ない!

何か謝罪が聞こえたような気もしたけど、それどころではない。



「私の夏休みを返してよー……っ……!!」



「ちょっと、悠李!;;そんな事で泣いてないで、この人、謝ってるから!;;」



「……えっ?」



…気のせいじゃなかったの?

階段を駆け下りて来た愛叶が指差す人を見ると、男女数人の集まりで、お酒の瓶やら缶を片手に心配そうに私を見てる。

…何なの??

私は酔っ払いのせいで、階段から落ちて怪我してこれから更にエンジョイする筈だった夏を邪魔されたの?



「ふざけんじゃないよっ!これから私の夏が……うぅっ……!!」



「あーあ……;;」



「ごめんなさい……」



「ちょっと通りますよ」



「「…………!?;;」」



…ちょっと待った;;