「おいしい!今まで食ったロールキャベツの中で1番おいしい!」
皐月くんはロールキャベツを頬張りながら、大袈裟なくらい喜んでくれて、本当に幸せそうな笑顔を浮かべた。
昼休みになり、私は皐月くんと屋上にきていた。
天気も良く、気温も暖かくて、風も気持ちいい。
「汁だらだらになってなくて良かったな」
「うんでもやっぱりカチャン付きのタッパは買おうと思います」
「その前に転ばないように気をつけろよ」
作ったお弁当を、皐月くんは全部おいしいって食べてくれて、その嬉しそうに食べてる姿に私まで嬉しくなる。
……でも、今はそれを素直に喜んで笑える心境じゃなかった。
「どうした?」
「え?」
こういう時、皐月くんは鋭い。
顔に出さないように頑張っていたのに、どうやら簡単に見破られていたみたい。
「そんな顔して、何かあったんだろ。正直に言って」
言おうかどうか迷ったけど、言わなければ言わないで怒られそうだし、嘘ついてもどうせバレる。
正直この名前を出すのは怖いけど、仕方ない。
「な、永瀬くん、が」
私の言葉を聞いた皐月くんが、ぴた、と箸を動かしていた手を止める。
動きを止めた皐月くんが怖くて、思わず下を向いた。
「戻ってきたよ、今日」
しばらく沈黙が続いた。
耐えきれず、恐る恐る顔を上げて皐月くんを盗み見たら、皐月くんは頬杖をついて遠くを見つめていた。
「ふーん……そう。以外と早かったな、戻ってくんの」
皐月くんはそれだけ言うと、すぐにまた箸を動かしてお弁当を食べ始めた。
「さ、皐月くん……?」
「んー?」
「えと……それだけ?」
「それだけって何が」
「えっと……」
「……同じだよ。他の男も永瀬も同じ。お前は今まで他の男にしてきたように、永瀬のことも視界に入れないで一切関わらずに生活してればいい」
「分かった?」 皐月くんは私の顔を覗き込むと、私の瞳をじっと見つめて、少しだけ笑った。
「うん……」
私が小さく頷くと、皐月くんは私の背中に腕を回してきた。
体をいきなり抱き寄せられたかと思うと、すぐに唇を塞がれて、強引に舌をねじ込まれる。
この呼吸を奪われる強引なキス、久しぶりだ。
「んっ……さつ、き……く……ッ」
「そう……お前は……俺だけ見てればいい……」
それからしばらく、私は皐月くんの舌に翻弄され続けて、ようやく唇が離された時には昼休み終了10分前だった。
