皐月くんが体を動かすと、どろどろになった中が擦れて、今まで体験したことのない感覚に襲われる。
体の奥を深くえぐられて、体も心も全部めちゃくちゃにされているような絶望感。
痛くて怖くて悲しいのに、気持ちとは関係なく体は不気味な快感を拾い上げていて、それがただ悔しかった。
「声出てる……お前も気持ち良い?」
少し息の上がった濡れたような声で、皐月くんは私の耳元で囁く。
「なぁ……お前も気持ち良いよな……?」
恐怖で鳥肌が立つ。
皐月くんの顔を見るのが怖くて、目をきつく閉じて顔を逸らした。
「なんで……なんで……そんなに泣くんだよ……」
突然、乱暴に首を掴まれて呼吸を奪われた。
いきなり首を強く絞められて、一瞬頭が真っ白になる。
「泣きたいのはこっちなんだよ!!!お前は俺のものなのに、他のやつに簡単にヘラヘラして……!!!記念日だって覚えてねえし、デートだっていつも誘うの俺からだし、一緒にいても永瀬の話ばっかりだし!!!」
皐月くんは声を荒げて私の肩をきつく掴んだ。
「珍しく放課後誘ってきたかと思えばみんなでカラオケ行こうとか言い出すし、しかも永瀬も一緒だとか言うし……。行きたくねーからミーティングだって嘘ついて断ったけど、俺が部活のミーティングあるなら永瀬もミーティングあるに決まってんだろ!なんであれくらいの嘘に気付けねーんだよ!」
ぽた、と頬に何かが当たって、薄く目を開いたら、皐月くんが苦しそうに顔を歪めて泣いていた。
「俺といるより……永瀬といる時の方が楽しそうだし……!なんで俺より……あいつの方が彼氏っぽいんだよ……」
皐月くんは愛おしそうに、優しく私の唇にキスを落とした。
その湿った唇は、微かに震えている。
「俺の方が、あいつなんかよりずっとお前のこと愛してる」
「さつ、き……く……」
「だからお前も……俺だけを見てよ……」
