それから2人で他愛もないことを話しながら歩いた。
クラスの話、授業の話、部活の話、飼ってるペットの話。
毎日教室であんなに喋っているのに、不思議と話題は尽きない。
皐月くんと話すときは、いつもドキドキして胸がむずむずして、恥ずかしくて大きい口を開けて笑ったりできないんだけど、永瀬くんと話しているときは、楽しくてお腹の底から笑ってる。
大きい口を開けても、お腹を抱えて笑っても恥ずかしくない。
むしろ一緒に大きな口を開けてゲラゲラ笑ってくれるから、とっても楽しい。


「あ」


ムール貝男爵だ。
とあるゲームセンターの前を通り過ぎようとした時、ひとつのUFOキャッチャーが目に留まって思わず目で追ってしまった。
私が大好きなキャラクターが山積みになっているUFOキャッチャー、どうやら新作が出たらしい。
こないだ皐月くんに取ってもらったやつとは色違いのキャラクターが、ガラスケース越しにこっちを見ていた。


「ん?何見てんだお前」

「えっ」

「UFOキャッチャー?」


私が頷くより早く、永瀬くんは私が見ていたUFOキャッチャーに近付いていく。