『おはようございます。』
ハッと目を覚ますと、朝を迎え、部屋には看護師と進藤先生がいる。
「おは……ゴホッ、おはようございます。」
泣いて寝たせいか、喉が渇いて声がうまく出なかった。
咳払いを軽くすると、完全に風邪の時の咳が出てきた。
風邪を否定したいがために、もう一度咳をしてみる。
「ゴホッ……ゴホゴホッ」
う……やってしまった。完全に風邪だ。
寝ながら泣いて、そのまま喉を痛めてしまったのか、風邪まで引いてしまった。
せっかく熱が引いてたのに。
でも、幸い熱はなさそう。
『吸入しとこうか。』
独り言を言うかのように呟いた進藤先生は、その後看護師に薬と吸入の用意をさせる。
『幸治くんから、鉄剤のことを聞いたから。朝食と夕食の後に一錠ずつ飲んで。』
「……はい。」
声を出すのが辛い……。
『大きな口を開けて。』
少し痛む喉。大きく口を開ける。
『薬塗っておくから。』
そのままカートから出してきた薬を、喉の奥に入れられる。
ぅわっ!!!
と同時に
「ォエッ!!!」
吐き気と共に、胃から何かが押し上げてきて、布団の上に出してしまった。
出てきたものは、食べた物ではなく黄色い胃液。
口の中が苦い。
『大丈夫?口、ゆすぐ?』
そう言われ、返事をして部屋にある洗面台に向かうため、ベッドから起きようとすると、
グラッ
体が大きく傾き、進藤先生に倒れかける。
ギリギリのところで進藤先生に体を支えられる。
まだ治ってなかったんだった……。
そうだよね。貧血の症状は、一度出ると簡単には治らないからね。
進藤先生に支えられながら洗面台に行き、うがいをしてまたベッドに戻る。
体力がないのか、それだけで疲れる。
ベッドに仰向けになると、看護師に吸入マスクをつけられると、スイッチが入る前に眠りについた。



