資料室……資料室。
あまり来たことないからドキドキする。
パソコンでまずはどんな資料があるか検索しなきゃ。
『心臓移植 生存率』
カチッ
「う……かなりある。」
もうちょっと絞れないかなぁ。
『心臓移植 生存率 統計』
カチッ
あ、結構絞れた……けどかなりある。
一冊ずつ見ていくしかないけど、最近の本を読みたいな。
結果を知るのは怖い。けど、最近の医療なら、きっと長く生きてる人もいるはずだから……。
と、検索結果をメモして端から探し始めた。
他に誰もいないから、パソコンは立ち上げたままで……。
と気づくと1時間近くが経とうとしていたけど、未だにいい資料が見つからない。
統計自体がしっかり出されてないのかな。
なんて、考えながら次の本を開こうとする。
『もう、それくらいにしとけ。』
という声と同時に、次の本に手を掛けていた手を掴まれる。
見上げると、そこには石川先生が立っていた。
怒ってる……?
「す、すいません。医局、忙しいですか!?」
『違う、そういうことじゃなくて。』
と言うと、私の隣の席に座る石川先生。
『こんなこと調べて何になるんだ?』
「…………。」
『今っ、お前がここに生きてることにはかわりないだろ?見つけた資料に何年か書かれていたところで、お前は今から何年か後に死ぬために生きるのか?』
そうじゃないけど……。
そうじゃないけど、この先のことが不安になる。だって、普通の人よりもきっと長くは生きられないんだから。
だいたいの年数でも分かれば、覚悟もできるかもしれない。
思っていることを口に出せない代わりに、次第に涙が出てきた……。
私の意見なんて、思いなんて…どうせ言っても、言葉巧みに上手いこと言われて終わらされてしまう。
それに、この気持ちは私にしか分からないこと……。
涙が目の前を邪魔して、よく見えない。石川先生には止めるように言われたけど…、手元の本を開いてみる。
どこかに載ってないの…?
『もう止めろ!』
ビクッ
石川先生のこんな声、初めて聞いた。
そのせいか、胸がキュッと締め付けられるけど、すぐに治る。
気まづい雰囲気に居たたまれなくなり、
資料室を飛び出した。



