エア・フリー 〜存在しない私達〜《前編・誕生》

 源を乗せた飛行機が飛び立つのを見送りながら、火菜はこれから始まる新しい暮らしに胸を馳せた。

 勇はもう、走れなくなって公園のベンチで途方に暮れていた。

 美佐子は、火葬の合間に何度も黒沢のケータイに掛けても繋がらないので、焦っていた。

 黒沢は、『完敗』だと今はなすすべもなく、源を置き去りにした埠頭で一人たたずんでいた。



― そして、その後の弥生の消息を知る者は誰もいない。

     THE END
  (第2部へと続く)