「なっ」



琉磨くんの顔が赤く染まる。



「琉磨くん、顔…」


「離せ」



琉磨くんが思いっきり顔を背ける。



「痛っ」



背けた反動であたしの手が壁に当たる。



「悪ぃ」


「…ううん」



近づいたと思った距離もまた離れてる。
気まずさも残る。



「行くぞ」



彼はそれだけ言うとあるきだす。
あたしも琉磨くんについて歩く。



あの頃のように隣を歩けたらどれだけ幸せだろう。



でも、琉磨くんは
それをさせてはくれないんだ。

いつもそう。
近づけそうになると簡単に逃げる。


あたしはこんなに琉磨くんが好きなのに。
冬也先輩なんかじゃないよ。
琉磨くんが好きなんだよ。