【完】はやくおいでよ、琉磨くん

「なーんだ。残念。もう遙ちゃんに簡単に近づけないなぁー」



冬也先輩が笑いながら言う。



「ありがとうございました」



琉磨くんがあたしの手を離して冬也先輩の前にいく。



「え?なにが?」



きょとんとした顔になる冬也先輩。



「俺の背中を押してくれたのは先輩なんで」


「あー。さっきね」


「遙に触れたら許しませんけど」



琉磨くんの言葉に〝こえー〟って身震いしてる。



「ま、もうサボらないんだな」


「そうですね」


「早く呼びにいかせらばよかったな?」



冬也くんがあたしを見る。



「おいでってあたしが言えばよかったね」


「じゃあ言ってよ。いま」




琉磨くんがあたしに向き直る。



「え?」


「俺を研究室に来させる言葉言ってみてよ」



ニヤリと笑う。



「早くおいでよ、琉磨くん」



-FIN-