【完】はやくおいでよ、琉磨くん

「琉磨くん、あたし琉磨くんのこと嫌いになんかならないよ」


「なんでならねーんだよ」


「嫌いじゃないもん」



あたしは琉磨くんが好きだから。
嫌いになるわけなんてない。



「それじゃダメなんだよ」


「なんで?」


「普通より嫌われたほうが頭ん中に残るじゃん」



一息ついて



「俺のことだけ見てろよ」



満足そうに笑う。


あたしにそんな笑顔を向けてくれたことは
最近ではなかったような気がする。



「頭ん中、もうずっといっぱいだよ…」



嫌いって理由じゃないけど。



「は?」


「昔っからずっと琉磨くんのことしか考えてないよ」


「昔から嫌いなの?」



琉磨くんが首を傾げる。



「バカ!」



あたしは持っていたバッグで琉磨くんを叩く。



「叩くなよ」