【完】はやくおいでよ、琉磨くん

「そのせいで泣いてたんじゃないのかよ」


「違うよ」


「じゃあなんだよ」



イライラしたような口調の琉磨くん。



「それは、言わない」



きっと嫌がるから。

昔みたいに話したいなんて思っても
叶いっこないんだから。
そんなの痛いほどこの3年間で思い知ってる。



「冬也先輩以外にいるのかよ」

「え?」


「お前の心を揺さぶるやつ」



そうあたしを見る瞳はどこか真剣で。
どうやって返すのが正解なのかわかんない。



「冬也先輩に揺さぶられたことなんかないよ」


「じゃあ誰で頭ん中いっぱいになってんの?」


「そんなの…ずっと…」



1人だけだよ。
あたしの頭にいるのは。
琉磨くんただ1人。