【完】はやくおいでよ、琉磨くん

「琉磨くんのせいなんかじゃ…ない」



首を横に振る。



「そ」



さっきまでとは違う
不機嫌な彼に戻る。


一瞬、だったな。
一瞬だけ昔に戻ったみたいだった。

それでも黙ってあたしの隣にいる。



「あの、さ」



琉磨くんが口を開く



「その、あいつは明音さんが好きかもしれねえけどさ…」



ボソボソと話す。



「え?明音さん?」



突然出てきた明音さんの名前に?マークで一杯になる。



「お前、そのことで泣いてたんじゃないのかよ」


「明音さんってなに?」


「いや、あいつが明音さんが本命とか言うから…」


「そうなの?知らなかった」



たぶん冬也先輩のことだろう。
そもそも冬也先輩が誰のことを好きでも関係ない。