【完】はやくおいでよ、琉磨くん

『やっぱ俺、お前嫌い』



そのまま研究室を出た。



本当なら



『やっぱ俺、お前が好き』



そう言えたらいいのに。


言えない俺はバカなのかな。
でも負け戦に手を出すほどバカじゃない。
自ら傷つきになんていきたくない。

それに言ったらあいつを困らせるから。
あいつを困らせるぐらいなら
この想いは隠し通すべきなんだ。



過去のことも
さっきのことも
どれを思い出しても思うことはただ一つ。



「あー。好きだ…」


「ってこんなとこで言うならちゃんと言えば?」



突然後ろから声をかけられて慌てて振り向く。



「…なんであんたが」



冬也ってやつが俺の目の前にいる。



「告白、しちまえよ」


「は?」


「俺の本命は明音だよ?」


「は?ふざけんな」



俺は冬也ってやつの首元をつかむ。



「待て待て。俺を殴る前に遥ちゃんの気持ち聞いてこいよ」



指さす方向にはさっき俺がいた中庭で座っている遥。



「遥?」


「言ってこいよ」