『琉磨くん』



後ろから突然名前を呼ばれる。



『は?』


『ありがとう』



そうやって笑う遥に昔を思い出す。




『別にお前のためじゃねーし』



恥ずかしくなってすぐに遥から目を逸らす。


…好きだなぁ。
やっぱり好きなんだよ。
たぶんもうこれずっと。


『好き…』



突然後ろから聞こえてきた言葉に頭が真っ白になる。


なんだこいつ。
漏れてんじゃん。
冬也ってやつへの思い。


すげぇむかつく。
なんで俺を頭ん中においてくれないんだよ。



『は?』



俺が振り向けば



『え!?』



ってすごい驚いた顔。

聞こえてないと思ってたんだろう。



『誰のこと好きって?』



俺はじわじわと遥との距離を縮める。



『冬也とかいうやつのこと?』



冬也ってやつより俺のこと考えて欲しくて。
遥を壁に追いやる。


鼻と鼻がぶつかりそうか
すぐに唇に触れちゃいそうな距離。


あの日のファーストキスを思い出す。