『待って!琉磨くん!』



遥が俺の腕を掴む。



『来てよ。お願い』


『触んなって』



遥の腕を払う。



『じゃあ触らないでほしいなら来て』


『なんで、そんなに必死なんだよ。冬也ってやつのため?頼まれたから?』


『冬也先輩に頼まれたから』



まただ。
少しは俺といたいからとか言ってみろよ。
そしたらすぐに行ってやるのに。



『ふーん。そいつが好きなんだ?』


『そんなんじゃない』



決して俺の目は見ないで答える。
そんなのそいつが好きだからだろ。
バレバレなんだよ。



『行けばいいんだろ』



研究室への道を歩く。


こうなったら見届けてやるよ。
ふたりが付き合うのを。
いや、もう付き合ってるのかもしれないか。