『ちょっとだけでいいから…』



遥が俺を見上げる。



『お前もいるんだろ』


『え?うん』


『お前がいるから嫌なんだよ』



俺はそのまま遥に背を向ける。


あいつを傷つける言葉はスラスラ出てくる。
いつから俺はあいつを傷つけるのが得意になったんだ。



本当ならもう遥と話したっていいんだ。
あの俺にけしかけた女はなぜか1年が終わったら学校を辞めてった。
だからもう遥に話したっていいはずなのに
1度遠ざけてしまったらもう元に戻すっていうのが難しくて。

心は全然離れてないし
あいつに会えば頭ん中遥だらけ。


簡単にも溢れてくる。
好きって気持ち。

あいつの頭ん中は冬也ってやつでいっぱいなのに。