だからあの時嬉しかったんだ。



『ねぇっ』



中庭でぼーっとしてたら後ろから声をかけられた。


すぐに遥の声だってわかった。



『あ?』



そんなふうに返したけど、あれは照れ隠しで。
久しぶりに話しかけらたことに異常なほど俺の心臓はバクバク。



振り向いた先にいたあいつはやっぱり可愛くて。



『…なんだお前かよ』



そう言ったけど、頬が緩むんじゃないかって気が気じゃなかった。



『冬也先輩が琉磨くんを連れてこいって』



遥の発した名前にイライラが募る。
またあいつの名前。



『行くわけないだろ』


『なんでそんなにサボるのよ!?』


『…お前に関係ないだろ』



嘘。
本当はすげぇ気にしてほしい。
俺のことで頭いっぱいにしてほしい。