『は?』


『いいの?大事な遥ちゃんが傷ついても』


『離れれば問題ないんだな』


『いいわよ』



そいつは俺の唇に自分の唇を合わせようとする。


が、それを交わしてやった。



『悪いけど、そーいうつもりはないから』


『まぁいいわ。とっとと離れてね。言っとくけど、あなたたちと大学一緒だから』



それだけ言うとそいつは俺の前から去っていった。



大学まで一緒かよ。
ぶっちゃけ大学行ってしまえば大丈夫だとか考えてた。


そいつに告白されたのは高校の卒業式で。
こんなのすぐにやめられるって思ってたんだ。
だからあんな誘いに乗った。


でも、そんな簡単なことじゃなくて。
現実は遥から離れることでしかあいつを守る術がなかった。


付き合ってなくてよかったって
思ったよな。

付き合ってて、あいつがそばにいるのが当たり前になってたら。
離れるなんてありえなかった。