「但野だけずるっ」



冬也先輩がふくれっ面になる。



「冬也より但野くんの方がかっこいいじゃない」



明音先輩がニコッと笑う。



「はいはい。じゃあ俺は…」



冬也先輩があたしに向かって歩いてくる。



「え?」


「遥ちゃんと遊ぼうかな?」



あたしに顔を近づける。



「と、冬也先輩近いです」



慌てて顔を逸らす。



「照れてるのー?かわいいー」


「そういうわけでは…」


「遥ちゃんかわいいよね。ほんと」



逃げても逃げても顔を近づけてくる。



普段〝遥ちゃん〟なんて下の名前で呼ばないくせに。



「あのっ…」



必死に冬也先輩から逃げたいのに
何度も捕えられるあたしの頬。

このままだとキスされてしまいそう。