「おっ、皆女の子ばっかで華やかだね。

俺ら男だけでむさくるしいから、一緒に遊んでくれない?」


一人の男の子が私達に話しかけてきた。後ろには三人の男の子。年齢は私達とそう変わらないように見える。


声のかけ方からして女の子に慣れてそう、が私の第一印象。


けど…すごくイケメンさん。目がチカチカする。


そこはやっぱり私も女の子なので、カッコイイ人には弱かったりする。


「んー…どうしよう」


優香が今までとは違い、珍しく口籠もる。やっぱり美人でもイケメンには弱いのかなぁ、と笑みが零れた。


ふと視線を変えると、四人組の中で興味が無さそうな素振りをしている男の子を見つけた。


わっ、皆イケメンだけどあの子ダントツだなぁ。


ストレートの黒髪で、少し長めの前髪から見え隠れする伏し目がちな瞳が私に何とも言えない気持ちを覚えさせた。


見すぎたせいか、彼と目が合ってしまう。


「!」


私はほぼ反射で目を逸らす。勢い余って顔の向きまで変わった。


び、びっくりしたぁ。まさかこっち向くとは思わなかったから。


いつもより早く鳴る鼓動、心臓を抑えて少し染まった頬を髪で隠そうとする───が、髪を括っていたため私の手は空を切った。


何でこんなに焦ってるんだろ。私。イケメンさんばっかりで緊張してるからかな。


視線をもう一度あの男の子の方に向けると、男の子はもう私の事など見ていなかった。


ホッとしたようなガッカリしたような。


「よし!んじゃー決定!

まず自己紹介からすっか!」


彼の声で現実に引っ張り戻されたような感覚。私は肩をビクリと震わせた。


彼の言葉に皆拍手をしたり「いぇーい」と合いの手を入れていたりしている。


私が一人焦っている間に皆はナンパを承諾したらしい。そのシーンを見ていなかった(聞いていなかった)私は展開に着いていけず、思考が止まる。


「まずは俺から!藤井大雅です!」


先程から喋っている男の子が自己紹介する。とりあえず自己紹介をすれば良いのだな、と止まった思考を巡らせて考えた。


「あ、私は…荻野優香です」


優香が少し恥ずかしそうに名前を言う。その後は弘樹くんと言う人が名前を言った。


弘樹くんに続いて安澄、安澄に続いて隼人くん、隼人くんに続いて凛華、そして私の番。


「えと、紺野柚希です」


イケメンさんの前でカッコ悪い事はしたくないので、態度も声も控えめな自己紹介。


…全く。変な展開になったな。


カッコイイ人が好きでも、一緒に居るのは好きじゃない。緊張するし、それに一番の理由は───。