私は目線だけ前に向けた。
美少女が三人。美男子が四人。
カッコイイ人が私と一緒に居るのは、私のそばにカワイイ子が居るから。そしたら私の周りは皆綺麗な人ばかりになる。
カッコイイ人と一緒に居る事が好きじゃないのはそれが原因。
要約すれば、綺麗な人の中に居るのがいたたまれないから嫌。という事。
我ながらひねくれてるな、と思うけど嫌なものは嫌、しょうがないもん。
「あー…、俺は結城晃平」
最後の一人の自己紹介。さっき目が合った男の子がだるそうにそう言った。彼はナンパにあまり乗り気じゃ無さそうに見える。
こうへい、かぁ。どんな漢字書くのかな。
彼の名前は何だか特別な感じがして、とても素敵な名前だと思った。
「うし、優香ちゃん。スライダー好き?」
「安澄ちゃん、さっき向こうの店で面白いもの見たんだ。
安澄ちゃんも見に行かない?」
「凛華さん、喉乾かない?今ならもれなく、俺がジュースをプレゼントしちゃうよ」
おい、コラ。
自己紹介が終わるや否や、男の子は一人一人私の友達に付いてお見合い状態。
無論、私に話しかける人は無し。
別に良いけどね!一人一人お目当てがいるんだろうって薄々分かってたし!
ふん!と鼻息を漏らしたのは皆への嫉妬と、ちょっとの強がり。
大雅くんは優香、弘樹くんは安澄、隼人くんは凛華。
皆も男の子に迫られて満更でも無さそう。
案外イケメンなら何でも許せるって話は本当かもしれない。ていうか皆、どうすんのかなぁ。もしかして私一人で遊ぶ事になっちゃうの?
とか思いながらぼーっと傍観していると、三人が男の子を振り払って私の元に歩いて来た。
えっ、もしかして皆私の事を見捨てずにいてくれた?
なーんて希望の光も束の間、三人は頬を染めながら私に詰め寄った。
「あ、あのね、大雅くんに誘われたんだけど、私行ってきてもいいかなぁ」
と、モジモジしながらの優香。
「あっ私もなんだぁ。ちょっと話しただけなんだけど、何だか弘樹くんと話すの楽しくて…私も良いかな?」
頬を染めて上目遣いに私を見る安澄。
「私も、行ってもいいかな?
なんか隼人くんの雰囲気にほだされちゃって。ジュースも買ってくれるらしいんだ」
照れくさそうに笑いながら頭をかく凛華。