じーわじーわじーわ…。


教室の窓からは蝉の元気な鳴き声が聞こえる。


「もう、あっついよぉ〜…」


下敷きで扇いでいた手も限界になり、私こと紺野柚希(こんの ゆずき)は頭を垂れて不満を漏らした。


「そんなの…皆同じでしょ?」


そう返事をした彼女は、言葉とは裏腹にさらさらの肌である。


何で!?


これは毎朝の不思議だった。


「地球温暖化かなぁ」


「もういっそ極限まで海面上昇して、海で泳がせてほしい…」


続けて返事をした彼女達もさらさらだ。


理由は何となく分かる…。


一番はじめに返事をしてくれた彼女は優香(ゆうか)。


二番目に返事をしてくれたのが安澄(あすみ)。


続けて返事をしてくれたのが凛華(りんか)。


この三人は細い。それに比べて私は、身長こそ平均的だけど下半身デブでお世辞にも痩せているとは言えない。


だからこんなに汗をかくんだろう。普段からあまり運動もしないし。


「汗が止まらん…」


カバンから引っ張り出したタオルを顔に当てながら言った。


「うーん、最近ホントに暑いよねぇ」


安澄が困った顔で言った。


「まぁ夏だからしょうがないんだろうけど。ここまで暑いと今度の日曜日、屋外心配だね」


「わっ、確かに」


凛華の言葉に私は同意した。


今度の日曜日、どこに行くかはまだ決まっていないが、このメンバーで遊びに行くことになっている。