「みんなで話し合って……」
「私が、歌います」
錦戸くんがみんなを落ち着かせて話し合いを進めようとしたとき。
そう発したのは、私だった。
一瞬で私に視線が向く。
その中には、私には絶対にできない、という諦めたようなものもあった。
「授業サボっているくせに、歌えるわけ?」
まさか私が申し出るなんて思っていなかったのか、挑発的な視線を向けてくる。
それでも、ここで殻を破らないと、何も始まらない。
「練習は毎日見ていたので、大丈夫です」
相川さんの歌には敵わないと思うけれど。
それでも、私は歌う。
「そういう意味じゃなくて……」
「わかっています。
それでも歌うんです」
ため息をついて、意味がわからないと目で訴えられる。
ここで負けるわけにはいかない。



