キミの音を聴きたくて



「そ、んな……。
音中さんは悪く、な、い……」



力ない声で苦しそうに見つめる相川さん。
けれど、もう支えなしでは起き上がることさえもできていない。



彼女に無理をしてまでやらせるのは違うと思う。
だったら……私が引き受けるしかない、と言うの……?




「陽葵ちゃんに押し付けるのは、違うよっ」



そう言って私の前に立ちはだかったのは日々ちゃんだ。
こんな状況でも友達を優先してくれるなんて……。



錦戸くんもみんなをなだめようと、静かにするよう声をかけている。




どうしよう。
どうすることが、正解なんだろう。




────『これからも私に、陽葵の自由な歌声を聴かせて?』




自由な歌声なんて、私はもう持っていないよ。
私はもう、自分の歌を届けることはできない。



ねぇ、助けてよ。



私は、私は……。