「そうやって、悲劇のヒロイン気取っているんでしょ?」



「だから嫌だよね、アイドルって」




そこに聞こえてきた、相川さんへの侮辱の言葉。
ふたりの女子が、彼女を見下すように鼻で笑っている。



彼女達は、クラスでも大きな権力をもっているらしいふたりだ。
好かれているかは別問題だけれど。



他の人達は、合わせて笑ったり哀れな視線を向けたりしている。



相川さんの顔は、俯いていてハッキリとは見えない。




ねえ、どうして。
どうして人を傷つけるの。



弱い人のことをどうして罵ろうとするの。
彼女が傷ついていることなんて、一目瞭然なのに。





「どうして、笑っていられるの」



「……え?」



驚いた声が聞こえたけれど、誰よりも驚いているのは私だ。