私が言えることではないけれど、友達と話している姿もあまり見ない。
クラスで孤立してしまっている。



まさに、日々ちゃんと出会う前の私のような存在だ。





「実は、熱が……あって……。
歌おうと思ったんだけれど、体が……」



赤い顔で訴える相川さんは、確かに体温が高そうだ。
この状態では、これから歌うことは難しいだろう。




でも、相川さんがいなければバンドのボーカルがいなくなり、成り立たなくなってしまう。



どうしよう……。
誰か代理を出すしかないかな。




けれど、1度も歌ったことのない人がいきなり大勢の前で歌えるだろうか。



誰の歌が上手なのかわからないし、彼女以外に歌いこなせる人がいるかどうかも怪しい。



もともとは彼女に歌ってもらうために作詞作曲したものだ。
だから、そんな人なんて……。




とりあえず、錦戸くんのもとへ行って相談しようとしたとき、耳を疑うような言葉が聞こえた。