キミの音を聴きたくて



「てか、デートって?」



「なっ、それは……!」



天音先輩が勝手にそう言っているだけで、デートなんかじゃないよ。
そう言おうとして、どこかから視線を感じた。




どこからか、なんて見なくてもわかる。
離れていて声は聞こえないけれど、それでも悟ることができるほどその効果は大きい。



……天音先輩が不気味な笑顔を貼りつけてこちらを見ている。
きっと、錦戸くんは気づいていない。



つまり、言うなってことだろう。
距離は離れているのにその威圧が伝わってくるなんて、本当に彼は何者なんだろう。




「あはは、なんだったっけ」



通じないとは思うけれど不自然に誤魔化して乗り切る。
やっぱり錦戸くんはどこか納得していない様子だ。



そんな彼はそのままにして、辺りに目を配る。
先輩からの鋭い視線はもう外れたようだ。



会議室の席はほとんどいっぱいになっていた。