言い返そうとしたときにはもう遅く、既に先輩は1番前にある生徒会長席に着いていた。
錦戸くんも嵐のように去っていった彼には驚きを隠せていないようだ。
……今日も掴めなくて、不思議な人。
でも、あの日の “ デート ” は夢じゃないんだと改めて感じた。
出かけたときに、天音先輩のことは信頼できる人だと思い直した。
でも、だからといって好き嫌いは別問題だ。
私はやっぱり彼が苦手で、この事実はきっと変わらないと思う。
「生徒会長って、かっこいいよな。
音中さん、知り合いだったんだ?」
話の流れからすると、当然の質問だろう。
あの生徒会長と私に接点があったことに驚くのが普通だ。
錦戸くんは、彼と話すときに頬を赤く染めていたから。
……憧れている、なんてこともあるのかもしれない。
私だって、かっこいいとは思う。
けれど、憧れなんて絶対にもたない自信がある。
「うーん、まぁ」
でも、あまり触れられたくはなかったので曖昧にそう答えた。
サボっているときに知り合った、なんて言ったら彼の信頼がなくなってしまいそうだし。



