「音中さん、学年1位って本当?」



ついには隣の席の錦戸くんにまで尋ねられて、あしらうのが大変になってしまった。



もうこんな経験は懲り懲りだ。




「あはは、まあね」



曖昧に答えると、錦戸くんもやっぱり瞳を輝かせて「いいなー」と嘆く。




勉強?
そんなものしていない。



真面目そうに見えるかもしれないけれど、私の頭の中は勉強だらけなんかではない。



むしろ、勉強はあまり好きではない方。




「……でも、大変なんだよ」



誰にも聞こえないくらいのか細い声で呟く。



日々ちゃんにだって錦戸くんにだって、私のこんな感情は気づかれたくない。



気づかれたらきっと、私は嫌われてしまうから。