キミの音を聴きたくて



「会長?
……ここは学校じゃないよ」



学校じゃないけれど、会長には変わりないですよね。



そう返そうかとも思ったけれど、こんなに真面目な表情を見たらそんなことは言えなかった。




まるで、“ 会長 ” と呼ばれることを拒否しているかのよう。



でも、生徒会長って自分で立候補してなる役職でしょう?



それならどうして、大役に挑戦しようと思ったんだろう。



責任を感じて?
それとも、何かを変えるために?




いくら考えても当時私はその場にいなかったわけだから、答えなんて出ない。



代わりに、気づけば目の前には彼の瞳があった。
綺麗なのに、どこか切なげな……。
やっぱり何かを隠そうとしている瞳だ。




「天音、先輩」



この名前を呼ぶと、なぜだか不思議な気がしてならない。



しっくりしなくて、また「天音先輩……」とひとりでに呟く。