キミの音を聴きたくて



思い返せば、日々ちゃんにも錦戸くんにも会長と関わったことを知らせていなかった。



もちろん毎回のように屋上でサボって時間を潰していることなんて言えないし。
そこで彼に出会ったことも言えない。



言ったらそれこそ何をされるかわからない。
だって相手は、あの生徒会長なんだから。



もしかしたら停学……。
いや、それよりも私の嫌がる “ 音楽室強制連行の刑 ” とかをされそうだ。




私情なんて話す必要はないと思っていたけれど、いざというときに頼りになる存在がいないことに少し痛みを覚える。



……ううん、違う。
日々ちゃん達が悪いわけじゃない。



私が、自分を見せようとしないから。
何もかもを隠しているのが悪い。




でも、他に方法なんてある?



頼ったとしたって、相談された人にとっては負担になってしまうし。
何よりも未だに私の中で整理できていない。





「……あ」



ちょうど学校の最寄り駅に着いたとき、そこには既に会長がいた。