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ひとりきりの教室。



静かな空間に身を任せ、心を落ち着かせていると、遠くから声が聞こえてくる。




「音中さーん」



「陽葵ちゃーん」




廊下から響いてくるこの声は……錦戸くんと日々ちゃんものだ。



私を探しに来たんだろう。
別にいいって言ったのに。



別に、ふたりのことが嫌いなわけじゃない。
逃げているわけでもない。




でも今は。
今だけはひとりでいたい。
誰にも見つかりたくない。



もしも見つかってしまったら、全てを口に出してしまいそうだから。



彼らに隠しごとなんてしたくない。
でも、それで嫌われるよりはよっぽどいい。



お願いだから、私を探さないで。