「陽葵ちゃんは、兄弟とかいるの?」
………わかっている。
日々ちゃんは、悪くない。
悪いのは、私なんだ。
この質問をされて答えられないのも、私のせい。
その事実だけは、あの日からずっと変わらない。
彼女はきっと、毎日お弁当を作ってくれるお姉ちゃんのことが大好きなんだろう。
だから嬉しそうにお弁当を口に運んでいるんだ。
そんな存在がいるなんて、羨ましい。
「……私は、いないよ」
それだけ答えた後は、どんな話をしたのか覚えていない。
会話は成り立っていたんだろうか。
不自然に思われなかっただろうか。
笑みを繕うことで精一杯で、それどころじゃなかった。
不安が募っていくばかりで、他のことなんて何も考えられなかった。



