「そうなんだね。
私は、年の離れたお姉ちゃんが作ってくれているんだ」
────お姉ちゃん。
他の人にとっては、何気ない会話だと思う。
ただ自分の家族の話をして、楽しいことを共有する。
そんなの生きていれば誰だって体験するし、今までだってないわけじゃなかった。
それなのに、こんなに過剰に反応してしまうのは、私が─────。
「そっ、か。
いいお姉さんだね」
それしか言えなかった。
これ以外の返答なんてできるはずがない。
彼女のお弁当には、彼女の好きそうなかわいらしい物がたくさんある。
前に “ キャラ弁 ” とやらが入っていたときは、恥ずかしがりながらも美味しそうに食べていた。
きっと彼女は家でも家族に愛されているんだ。
でもお願い、触れないで。
これ以上この話はしたくない。
ねぇ、お願い。



