「本当だって。
あと、歌も勉強しようと思う」
「え?
歌、ですか?」
ピアニストになることが夢だと言っていたから、“ 歌 ” という言葉が出てきて驚いた。
確かに先輩が歌っているところも見てみたいけれど。
「ああ。
陽葵の歌を聴いていたら、俺も……歌ってみたくなったんだ」
その言葉がジワリと胸に染みる。
私の歌を聴いてそう思ってくれるなんて。
歌って良かったと、心から思えた。
絶対に歌わないと誓ったこともあったけれど。
好きなことは何年経っても好きなんだと、思い知らされた。
歌うことが好き。
1度離れたからこそ、またその楽しさを実感できた。