「────卒業生、入場」




その言葉で拍手が起こり、会場が熱気に溢れる。



つられて私もそちらへ視線を向けると。



……いた。



前を向いて堂々と歩いている天音先輩の姿が見えた。





今日は、もう卒業式。



先輩がこの学校に通う最後の日だ。




目を瞑って、たくさんのことを思い返す。



まだ1年しかいないこの校舎で、十分なほど思い出をつくれた。




振り返ると、本当にあっという間だった。



あんなに人見知りで、他の人と関わろうとしなかった私に友達ができて。



なんと、憧れの好意を寄せる先輩までできた。



お姉ちゃんの死に向き合うことも、家族と支え合うこともできた。