相川さんのピアノを奏でる指が止まる。
錦戸くんと目を合わせて、それとともにまた息を吸う。
「もしも落ちた先に
私がひとりだけでも」
たとえ私が暗闇にとらえられて。
逃げせなくてもがいていたとしても。
きっと、あの光が導いてくれる。
そう私は信じている。
「変わらないよこの気持ちだけは
そう、気づいたんだ─────────」
ピアノの音も消え、響き渡るのは私の声だけ。
聴いている人がどんな顔をしているか。
なんて、そんなことはわからない。
でも、私は歌っていてとても気持ちがいい。
この清々しい気持ちを伝えたい。
あぁ、楽しい。
歌うことが、こんなにも楽しい。
ソロが終わり、その雰囲気のまま全員で歌い切ることができた。



