「あのときはごめんなさい。
でもやっぱり、歌いたい……の」
私がこう思ったのは、あの日天音先輩に言われた言葉のおかげだ。
『迷ったら澄恋に会いに行け』
その言葉の通り、私は家に帰ってから……仏壇の前へ足を運んだ。
今まで見たくも来たくもなかった場所。
改めて見ると、お姉ちゃんが死んでしまったことが事実だと認めなくてはならない。
目から涙が溢れて、またあの日のことがよみがえった。
それでも。
『……ねえ、お姉ちゃん。
私はまた歌ってもいいのかな』
答えはもちろん返ってこない。
けれど、確かにお姉ちゃんが見守ってくれているような気がした。



