「月野さん」 朝、登校してすぐに月野さんの席へと向かう。 彼女は鶴本くんと話しているところだった。 「えっと、音中さん? どうしたの?」 前に冷たく突き放してしまったからか、少し警戒されているような気がする。 それでも、私はもう迷わない。 「私にソロを歌わせてほしい」 「え? でも、前はごめんって……」 確かにキッパリとそう言った。 いきなり意見を変えるなんて、迷惑だというのは理解している。