「大丈夫だ。
お前なら、できるから」



そして優しげな目を向けた彼は、もしかしたら全てを知っていたのかもしれない。



私の不安な心の中を、読んでいたのかもしれない。




ねぇ、意味がわからないよ。



前は『許さない』と言って、歌う希望を壊したのに。



今は『お前ならできる』と励ましてくれた。





────天音先輩は、私の味方なの?敵なの?




わからない。
やっぱり彼の心は解けない。



彼はフッと綺麗な笑みをつくって、歩み寄ってくる。



逃げようと構えると。
ポン、と頭に手を置かれた。



思考回路が、切れた。