だんだんと日が落ちるのが早くなり、少し肌寒くなる秋。




「……もう1度、お願いします」



今のは私の耳がおかしかったに違いない。



だって、まさか、そんな。




「音中さんに、合唱コンクールでソロを歌ってほしいの!」



そう言って月野さんは近づいてくる。




……いや、うん。
意味がわからない。



文化祭のときは仕方なかったとはいえ、私はもう絶対に歌わないと決めたのに。




「ごめん。
他を当たってくれる?」



想像していたよりも低い声が出てしまった。



しまった、と思って顔を上げると、そこには傷ついた表情をした月野さんがいた。