確かに聞こえたのは。



『陽葵、助けて……っ!』



その言葉が最後だった。





ねぇ、お姉ちゃん。



嘘でしょう?



お願いだから、嘘だと言ってよ。





それから私はすぐにお母さん達にこのことを伝えた。



お母さんもお父さんも、お姉ちゃんのところに戻って病院へ行くと言う。



私も行きたいと頼んだけれど。



『コンクールに集中しなさい』と言って許してはくれなかった。




私は、ひとりぼっちだ。



誰もいない。



本番前に励ましてくれたお姉ちゃんは、もういない。