それなのに。
『うん、今信号で待ってい……
きゃぁぁぁーーーっ!』
突然聞こえてきたのは、お姉ちゃんの悲鳴と何かがぶつかったような鈍い音。
……え?
何が起こったのかわからなかった。
『どうしたの?
お姉ちゃん!?』
何かがあったには違いない。
けれど、呼びかけても返事はない。
嘘、だよね?
どういうこと……?
本番前の緊張をほぐすためとはいえ、さすがに大袈裟すぎる。
私は遊びなんて別にいいから、早くお姉ちゃんの顔を見たい。
そして、安心したいよ……。
わかっていないわけじゃない。
ただ理解したくない。
頭の中にはそれしか浮かばず、次々と涙がこぼれてくる。



