追い打ちをかけるように 「本日の観覧車乗車はあと5分で終了でーす。」 係りの人がそうアナウンスをした。 あと5分...。 先生、来て...! ぎゅっと両手を胸の前で握りしめた。 その時― 「!」 門の方から走ってこちらに向かってくる人の姿が見えた。 その人は11月の夜の寒さにもかかわらず 薄い半そでのTシャツを着て 帰っていく人たちの中をかきわけながら 無我夢中で走っている。